恭也の散々な一日〜日常編〜
――――俺の朝は、朝の五時から始まる。
身支度を整え、鍛錬をするためだ。
「……ふぅ」
「すーすー」
「くーくー」
目を覚まし、隣を見ると溜め息を吐く。
昨日ははやてとヴィータが泊まりに来ており……後は、このシリーズを読んでいる人間は察してくれ……
思わず哀愁を漂わせてしまうが、そんなことを考えているうちに鍛錬の時間が近付いてくる。
俺は、慌てて鍛錬用の服に着替えると、廊下を渡り、美由希の待っているであろう場所へと向かう。
「あ、おはよう恭ちゃん」
「……おはよう、美由希」
まだ体に、倦怠感は残っているが鍛錬を中止するわけにはいかない。
案の定それに気付いた美由希は、心配そうに見やってくる。
「……大丈夫、恭ちゃん?」
「ああ……とりあえず問題は無い」
「あはは……昨日は、はやてちゃんたちが来てたからお盛んだったみたいだしねー」
そう言う美由希を本気の殺気を当てて黙らせる。
流石に、俺の本気の殺気を当てられた美由希は顔を真っ青にして黙り込んだ。
「はい、すいません。 調子に乗りました」
「分かればいい……行くぞ」
……っていうか、魔法は反則だと思う。
三重バインドで捕まえられた後って、かなり卑怯くさいしな……
俺は、ミッドチルダの方に居るクロノ達に相談して何とか対抗策を取れないかどうか、思案しながら神社の方へと向かった。
朝食を終え、全員が食事を終え、みんなが学校へといった時。
俺はというと――――
「むがぁぁぁぁぁあ!!!(またかぁぁぁぁぁあ!!!)」
「ふう……日に日に逃げ足が速くなっていくな恭也」
「本当、今日は危なかったわね」
シグナムとシャマルは俺をバインド魔法でかんじがらめにしたままそういった。
二人に見下ろされた俺は、余りの不条理に泣きそうだ。
「何も変なことをしようというわけではないのに……」
「そうよねー、そもそも、こんな可愛い女の子達から迫られてるんだから、据え膳でパクリと行かなくちゃ♪」
後ろからヴィータの姿も見え始めた。
……あー、この展開は何時もの展開だなぁ……
「それでは」
「「「いただきます」」」
「むがー!!!」
ぽぽ〜いと、ルパンダイブを敢行した三人に俺はなすすべなく押し倒された……
「ぜはーぜはー……な、なんとか、勝った……!」
息も絶え絶えになりながら、俺は汚れに汚れまくった周りを見て呻く様に言った。
死屍累々……ともかく、周りで気絶している女性達の分も含めて後始末する。
――――最近、こんなテクニックばかり増えてるなー ――――
きらりと、涙が出そうになるが……いや、もう流れているけど……と、ともかく後始末をした俺は、高町家を出る。
正直、満身創痍状態だが……きょ、今日は定期診断の日……ふぃ、フィリス先生のところに行かなければ……
病院に着いた俺は、とりあえず受付を済ますと、ソファーの方へと向かおうとし……
「高町恭也さん、高町恭也さん〜」
直ぐに呼ばれて、ずっこけそうになる。
よし、平常心平常心。
「疲れてますねー」
「……それは、まぁ」
ぐったりとしている俺を見て、フィリス先生はそう評価した。
まぁ、まさか出てくる前にも一戦したなどとは死んでもいえない。
「それじゃあ、その前にこれを飲んでください」
そう言って、ドリンク剤を手渡される。
俺はそのドリンク剤をありがたく頂戴することにした。
「すみません、頂きます」
「いえいえ♪」
――――その時、疲れていた俺には見えなかった。 フィリス先生のゆがんだ口元など。
「どうです?」
「あ、疲れは少し取れたような気が……」
そう言って、俺は何時ものように服を脱ぎ、横になる。
ん……? それにしても、少しこの部屋は熱いか?
「……はぁ、なのはちゃん達、少しくらい手加減しないと恭也さん枯れちゃいますよ?」
「俺は、必死に逃げるんですけどね……」
なのはとフェイトの場合、夜部屋に入ってきたら即、俺にバインドをかける。 よしんば逃げ出しても、ヴォルケンリッター+夜天の主&AAA魔法使い×2からは逃げられるはずもなく……
結局つかまり、色々することになるわけだ。
その後、いつもどおりの整体を受けるが、フィリス先生はなぜかどこうとしなかった。
ま、まずい……途中から、ちょっと大変な状態になってるから……
「……? ふぃ、フィリス先生?」
「ふふふふ……恭也君、大変なことになってるんじゃないですか?」
!!!!
な、なんで……!
その答えは簡単だった。
さ、さっきのドリンク剤!
ブルータス! お前もかッ!!!
「房中術って知ってます? 医者としては試してみたいんですよ〜。 ふふふふ、恭也君、たっぷり可愛がってくださいね〜♪」
俺、今日、生きて帰れるかな?
結局のところ、俺が自宅の自室に着いたのは夜の11時だと追記しておく。
……お、俺……死ぬかもしれない……