恭也の散々な一日〜AAA三魔導師編〜

 


今日はなのは・フェイト・はやての三人たっての願いで、遠くの商店街に来ていた。

両方の腕にはなのはとフェイトが絡みつき、はやてもちょくちょくと俺に体を預けている。

――――なんだか、最近殺伐としていたから、こういう平和な時間は微妙に嬉しかった。

ちなみに、美由希もずるーいと言っていたがなのはのディバインバスターで沈黙させられていたのは記憶に新しい。

妹よ、最近なんだかやることなすことが過激じゃないか?

なのはの美由希に対する仕打ちを思い出して微妙に嫌な汗が頬を伝っていた。

ちなみに、美由希は晶とレンに回収されていた。 まぁ、生きてるだろう……多分、きっと、おそらく。 いや、なぜこんなに疑問形かと聞かれればまぁ、上半身が真っ黒だったからな……

 

「おにーちゃん、どうしたの?」

「ん? んんんん、いや、なんでもないぞ?」

 

こちらを向いてくるなのはに対して、俺はそう返す。

フェイトとはやても疑問に思ったようだが、直ぐにどうでもよくなったのか腕を絡めてきたり体でぎゅっとしがみついてきた。

――――と、言うかだな。

 

「……三人とも、流石に動きにくいからどいて――――」

「「「却下!!」」」

 

即答!? って言うか、言い終えてすらいないんだが……

三人の言葉に仕方なく諦める(なんだかんだで妹連中には甘い)

はぁ……もう、好きにしてくれ。

 

「あ、この服可愛い……」

「ん? フェイトちゃんに似合いそうやな。 私は……ちょっとのこの色はあかんかなー」

「あー、うん、シックな黒だもんね……って、そうじゃなくてこれゴスロリ服だよ!?」

 

確かに似合いそうだが、普段着にするのにはちょっと……と、いう感じの服である。

フェイトは、首を傾げると俺のほうへと向いて少し悲しそうに聞く。

 

「似合いません……か?」

「いや、よく似合ってると思うが……普段着としては、ちょっと……な」

「いえ、いいんです。 普段着として着るつもりはないですから……」

 

そう言って、頬を染めて服を取るフェイト。

ん? 普段着じゃないのか? じゃあ、どういうところで着るつもりなんだ?

なんだが嫌な予感がひしひしと……

 

「フェイトちゃん、どこで着るん、これ?」

 

はやても俺と同じ疑問に辿り着いたらしい、フェイトに聞いている。

なのはと俺もフェイトへと視線を向ける中、フェイトは少し恥ずかしそうに身を捩って答えた。

 

「あ、うん……えっ――――」

「ちょっ、待て!?」

 

‘どのタイミング’と‘えっ’の二つだけでどういうタイミングで着ようとしていたのかに気付き思わず止める。

他の二人も、タイミングに気付いたのだろう。 むー、と唸っていた。

 

「恭也さん?」

「どこからそんな知識を?」

「えっと……お母さんが、男の人を悦ばす方法の一つとしてコスプレっていうのを……」

 

<span style=font-size:x-large>リンディさんーーーー!!!!</span>

あなたは娘にナニを教えているんですかーーーー!!!!

フェイトは頬を染めて、続ける。

 

「その……恭也さんに喜んでもらえたらな……て」

「……うっ」

 

その表情は流石に色々な意味で反則だった。

まぁ、あれだ色々と突っ込みたいことはあるがフェイトは俺の為を思ってやってくれていることを考えると責められしな。

 

「あの……ですから、今度頑張りますっ」

「あ、ああ……」

 

先程の表情のまま、ぐっと胸の前に両拳を作って勢い込んで言う。

その勢いに、ちょっとだけ焦りながらも答えた。

 

「♪」

 

フェイトはそういうと、他の服を探しに行った。

む、そういえば、はやてとなのはは……

 

「おにーちゃん!!」

「……なんだ、なのはぁ?!」

 

後ろを振り向くと、そこにはなのはが居た。

居たには居たが……

 

「どう、この格好?!」

「あ、ああ……似合ってると思うが……」

 

なのはが着て居たのは巫女服だった。

――――って、言うか、なんでそんなものが置いてあるんだ、ここ?

俺に褒められたのが嬉しかったのだろう、なのはのテンションが非常に高かった。

 

「えへへへ……くーちゃんともおそろいだし……ちょっと恥ずかしいけど、おにーちゃんにも褒められて嬉しいな♪」

 

嬉しそうに言う、なのはに思わず俺も笑みを浮かべる。

頭を撫でてやると、嬉しそうに目を細めた。

 

「えへへ……よーし、この服買って来るねー!!」

 

……ちなみに、なのはは時空管理局の仕事を不定期とはいえしているので、給料を貰っている。 だから、このくらいの服を買うのは問題ないのだろう。

 

「恭也さん」

「ん? って、はやてもか……」

 

はやてが着ていたのは、ノエルさんやファリンとはまた違う形のメイド服だった。

全体的に紫をモチーフにしており胸元は白で首の辺りにレース生地の襟がある。 腰の部分には大きなリボンがあり、その下にはピンク色のエプロンがあしらわれていた。 頭には白いカチューシャが乗っている。

はやては、にやりと笑うと――――

 

「お帰りなさいませ、ご主人様!」

 

いきなりそんなことを言った。

思わずずっこける俺。

 

「あれ? 駄目ですか?」

「いや……もう、色々と言いたい事はあるが」

 

むしろ誰だ、はやてにこんなことを教えたのは。

はやては、くるりとその場で一回転すると、先程とは違い、少し緊張しがちに聞いてきた。

 

「あ、えと、その……似合ってます……か?」

「ん? ああ」

 

なるほど、さっきの冗談はこれが聞きにくいからか。

思わず苦笑する俺に、はやては沈んだ顔になる。

 

「やっぱり、似合わないですか……?」

「ああ、いや、そうじゃない」

 

俺は、苦笑を引っ込めると今度は優しく微笑むように努力しながら、頭を撫でる。

 

「よく似合ってる……その、可愛いぞ?」

「ほ、ほんまですか?」

「ああ、本当だ」

 

瞬間、パァと微笑むとはやては俺に抱き付いてくる。

 

「っと」

「嬉しいですー! えへへ……♪」

 

はやては一通り、俺に頬ずりすると、やっぱりなのはと同様に「買ってきますー!」といいながら、去っていった。

思わずほほえましく思う俺だが、ふと思いだす。

 

「……さっき、俺はフェイトととんでもない約束をしたような気が……」

 

冷や汗が出てくる。

……まさか、今夜じゃない、よな?

 

 

 

 

 

 

その願いも虚しく

 

 

 

 

 

 

「えへへへ……おにーちゃん、今夜も激しかったね!」

 

巫女服がはだけた状態の妹がそういった。

 

「恭也さん……やっぱり素敵です……」

 

うっとりと囁くのは、猫耳ゴスロリ服のフェイト。

 

「は……ぁ……ご主人様は激しいのがお好きなんですねー……」

 

メイド服を着たはやてがそう囁く。

……すまん、俺はもう声さえ出ないんだ……

ぐったりとした俺はこれから先のことを思い、薄れる意識の中で溜め息を吐いた。

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